いむげむ亭 ▼ 時々日記

陶芸家 中島惠のブログです。HP→いむげむ亭日常http://imugemtei.g1.xrea.com/

月蝕 2021秋

「今夜はほぼ皆既」と聞いて、
時間を合わせ、歩きに出た。

空には
ごく薄いオーガンジーをなびかせたような
緩やかな流れを描いている。
主役のお月様は、ほぼ皆既が終わるあたり
雲のフィルター越しにやんごとなき姫のよう、
かそけき姿で浮かんでおられる。

少し歩いて、
荒川にかかる橋から水面を見下ろすと、
月の波光はかぼそくて、ぼんやりと気配があるだけ。
黒々した川岸、神社の屋根、鎮守の木々のシルエット、
順に視線を上げていくと
空まで川が続いているようにみえた。

時間がたって、暗さを増した夜空の川で
三日月過ぎまで復した様子が私には  

光に包まれて天の川を往く に みえた。

 ・・・あの船に乗れたら、
 どんな命も浄くなれるだろう。

 ・・・あんな綺麗なものが空に輝いているのに、
 この上、何を作りたいんだろう・・・

 

満月に戻るまでを見届けたくて
帰ってからも、ちょくちょく外に出ては
お月さまを見上げた夜でした。


翌日。
同じ橋を渡ると、
雲のない空に十六夜の月。
川面の波光も刃物の鋭利。

 

が来る の ですね。