いむげむ亭 ▼ 時々日記

陶芸家 中島惠のブログです。HP→いむげむ亭日常http://imugemtei.g1.xrea.com/

読んだ本『飛ぶための百歩』

飛ぶための百歩という本を空に

『飛ぶための百歩』
ジュゼッペ・フェスタ作
岩崎書店

 

夏のドロミテ渓谷を舞台に
5歳で視力を失った14歳の男の子と、
山小屋で出会った同じくらいの女の子
まだ飛べない鷲のヒナの「二日間」の物語です。

 

読み始めるとすぐ、スッとに行けます。
一度でも山歩きをした人なら誰でも、
その記憶が呼び起こされるでしょう。
い日差しの登り道から、一歩樹林に踏み込んだ時の
ヒンヤリ感針葉樹の香りまれるあの感じ
  最初の数行でその世界に入ってしまえば
 (多分、子供さんでも)わくわく読み進められます。

「いつでもまずは目が見えない人扱い」にイラっとしている思春期の男の子と
彼に会って「なんか気まずい」と会話ができない思春期の女の子。
一方、絶壁の巣で餌を待つ鷲のヒナ君。
「見えない人生」に思いをよせつつ、展開にドキドキ。
彼らを大人視点で見守るもよし、入り込むもよし。

さくっと読み終えられるボリュームで
風が心地よいラストを迎えられること間違いなしです。

冬期パラリンピックももうすぐ。
誰かにプレゼントしたくなるかもです。
(かくいう私も柄にもなく紹介しております。)

 

蛇足ながら・・・

「自分は速読タイプ」と思われる方には、
ちょっとゆっくり読む事をお勧めしておきます。
ホントに読みやすいのでササっと読めばよめちゃうんですけど、
山の空気を醸す時間を取りながら読む方が、
心の飛距離が出ると思います。