9年前、病気が始まった頃、
獣医さんから『お風呂』を禁じられた。
ストレスと、水濡れ、両方が心臓に負担をかけるからだ。
以来、清潔を保つために
私が風呂に入る直前にお風呂場での
「ブラッシング」と「濡れ手で抜け毛クリーニング」が
習慣になった。
グルニャはこれが大好きで、時間になると催促にくるほどだった。
仕事場から夜中まで戻らない日でも
私の座布団の上に座り込みで「ブラッシの時」を待っていたっけ。
ブラッシ中はいつも、
口から出まかせの歌を聞かせていた。
「ブラッシブラッシ♪グニャグニャミョミョン♪」
(とても書けない、テキトーな歌詞)
グルニャもいつしか聞き覚えて、
この節を口ずさんで誘うと、
ちょっと考えたような顔をしてから立ち上がり、
自ら風呂場へ行くようにもなった。
風呂場で歌いながらグルニャの背中にシリコンブラシを滑らせると、
グルグルどころか「バリバリ」と聞こえるほどの勢いで
喉を鳴らして喜んでいた。
結局9年半、風呂もシャンプーもせずにいたけれど
グニャは匂いもしなかったし、汚くもならなかった。
もちろん皮膚トラブルも一切なかった。
つまり
水を嫌う子には風呂なんか不要なのだ。
シャンプーにヘアカットなんて人間がしたいだけ。
猫の手入れサロンは、よいお商売になっている。
けれど、この点もやはり、
自然が教える通り、猫のしたいようにして正解だったと思う。
(もっとマッサージしてほしい時のおねだりポーズ)