土の仕事はもう切り上げて
絵を描いたり、窯に火を入れたりと
仕事内容も切り替わってまいりました。
暑くなって来て、手荒れの季節は遠ざかったと言っても
作業が作業、ツラの皮はともかく手の皮の保守は必須です。

この冬から私の手肌を護ってくれてるのは、コレ。
椿の実です。THE種!ソノマンマ。
椿油は昔から髪油として使われてきました。
大島椿の油などは、現在でも売られていますし
買おうとすると結構高価なのです。
使い方は簡単。
【まず拾う事と保存作業】
①拾う ②ざっと洗って乾かす ④しまう
次に【月一回程度の準備作業】です。
④しっかりしたガラスの薬小瓶を用意する。
⑤小瓶にちょうど入るぐらいの量、だけ取り出して殻を取る
⑥ペンチで軽く殻を割ってうす皮だけにする。ギンナンを割る感じ。
⑦薬瓶に入れておく
で、ここからが【毎日の使い方】
⑧1,2粒取り出し、必要なら渋皮状の皮をむく。★
⑨薬瓶の底で押しつぶす
⑩出た油だけつけてもよし、つぶれた種全体を使ってマッサージ効果を得るもよし。
つまり、ひろってつぶすだけ。
椿の花の後、
夏に出来る「クリスマスツリーの飾り玉」のような緑の実。
ぱっくり割れるとその中には
黒々とした種達が、きっちり球形に組みあって詰まってます。
その造形の妙と、黒い殻素材の艶消し質感が好きで好きで、
ついつい拾いあつめたのがハジマリです。
種を拾っては入れるうち、いっぱいになった小壺をながめつつ
椿油が取れないかな?と思って製法を調べると
「古くはつぶした種を水に入れて加熱、浮いてきた油を集めた」とありました。
特に精製する必要もないみたい。
なーんだ、結局、つぶしただけじゃん。
だったら
「使う分だけ毎回絞ればいいじゃん!」
売る訳じゃないんだから、
何もまとめて絞って瓶に詰める必要はない。
そもそも
種の命を守る自然の殻は、最高の酸化防止膜。
使う分絞るのが、一番フレッシュ!!
陶芸を始めた当初から
椿の花が大好きで、良く描いていました。
私が庭に植えたのはホームセンターで買った小さな苗や
スケッチ先で拾った剪定枝の挿し木です。
いつのまにか大きく育って、専属モデルに。
その上手肌を守る実を落としてくれるなんて、
椿ちゃん達は、美人で優しい孝行娘です。
母さん幸せだなぁ!!
(おーい、哺乳類の娘!読んでるか?)
私が連なるのは工芸と言う
「眺めるだけの美術品」と「人の暮らしに寄りそう道具」の中間の世界。
どちらに近いかによって、同じ椿を扱っても狙いが違ってきます。
私は
【椿の美しい形状を意匠化して装飾した作品】と言うだけじゃなく
【椿が咲く季節の風や光を心に呼び起こす印象】を盛りこみたくて
今日までジタバタしてきました。
今回はどこまで踏ん張れるでしょう。
椿油で手肌を守りつつ、がんばりま~す。
★薄い膜をつけたままだと少し苦みがあるので
食事を作る前に使う時は皮をはずした方が良いのです。