いむげむ亭 ▼ 時々日記

陶芸家 中島惠のブログです。HP→いむげむ亭日常http://imugemtei.g1.xrea.com/

酷暑釉作り 3(最終回)

三回続きの最終回、やっと陶芸家らしい道具が登場します。

ポットミルを乗せて回るミルラック。陶芸 釉薬づくり


「ポットミル」「ミルラック」という、
昭和の家内工業的な機械です。
見かけだけではなく、稼働音がまた超昭和レトロ。
ポンコツともいう)

白い筒状に見えるのが
硬いアルミナ磁器の焼物で出来たポットです。
同じく硬いアルミナ磁器製ボールをこの中に入れて使います。

ポットミルの中のアルミナボール 陶芸 釉薬づくり

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筒状のポットの中に→水をいれ→材料をいれ軽く混ぜ
→アルミナボールを入れて
→パッキンと蓋をしっかりねじ止め
→腰に気を付けて持ち上げる(超重い)

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これをミルラックに乗せスイッチを入れると
【ハムスターの回し車】の要領で回転を始めます。
すると中で材料がボールと共に回転し
すりつぶされて滑らかな釉が出来上がる、
という仕組みなのです。

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時計で確認し決められた時間をガラガラゴロゴロ。

時間が来たら、ラックから外し(重い)
→ふたを開け、アルミナボールを取り出し
→大タライにセットしたふるいの上から中身をだします(重い)。
→再度、中に水を入れて内部を洗い
→ジャバジャバ振り回して大タライへ。(超重い)

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タライの中身が出来上がった釉薬です。泥水にしか見えませんが。

青磁釉できあがり


大タライから、釉薬の名前を書いたバケツに
慎重に移し終えたら、これで1種類出来上がり。

次の釉薬のために、すべてを洗って、
作る釉薬の回数分、同じ作業を繰り返します。

 

陶芸っていうと「粘土が重そうで力が必要」って思われがち。
でも、私の場合は
釉づくりや原料管理の方が、よっぽど業。

この夏は、力仕事頑張りました。
自分に、ヨシヨシヾ(・ω・`)

 

酷暑釉作り 2

釉薬づくり話、前回の続きです。(画像は、今回の釉づくりカードです。)


やっと涼しい水作業の話に進みます。

まずは、屋外土石類の収納箱の「蓋」に降り積もった砂埃と
作業場の棚、床、器具等すべてを
ホースの「ジェット水流!」で流します。


作るからには埃を混ぜ込みたくありませんからね。

全身びしょぬれになって、気持ちイイ!


着替えてさっぱりしたところで「計量作業」に入るのですが、

開始早々、【福島長石】の袋が空っぽに・・。

長石、珪石に限っては「新しい袋」に切り替わる時
作業が増えちゃうんです。

新しい袋、といっても購入は2004年なのですが、
それでも袋の中身はしっかり湿ってます。
レンジで湿気を飛ばし、水分量の計算をしてから正しく計量しないと
釉薬の成分が変わってしまいます。
溶解温度にかかわる事ですので、これは必須の作業なのです。

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湿った福島長石200グラムをレンジOKの器に量り
→レンジでチン→塊をほぐして湿気を飛ばす→再レンジ!

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これを蒸気が出なくなるまで根気よく繰り返します。

大学での釉薬づくり大会の日には
「1㎏をステンレスボールに入れ、ガス台で乾かす」のが
恒例になっておりましたが、真夏の一人作業では
1キロなんてやってられん、むりむり。(今も続いているのかなぁ)

 

い台所で汗だくになりつつアッチッチの長石をそっとほぐす私。
粉を舞い散らせるてはいけないし、
汗を長石にたらしてはもっといけない!!

レンジの際、微分末の表面が沸く水面のような動きを見せ始めたら、
水が全部飛んだ合図。ちょっと冷ましてから再計量します。

200グラム174グラムに減ってしまったという事は・・
ええっと・・

苦手な算数に内側からもが・・。


200÷174=1.149425287356322
約1.15を元の重量に掛ければ・・いいの?いいのかな?
(算数ダメ・・不安)

ちなみに、計測のため乾かした福島長石は
「実験用瓶」(インスタントコーヒーの瓶ですが)に保存します。
釉薬調合テストに使いますので、乾燥作業は無駄にはなりません。
私の窯焚きではテストピースが入らない事はありませんからね。

 

福島長石を使う調合カードすべてに
水分込みの修正重量を書き込んで、元の「計量作業」に戻ります。

材料を計量して→材料ごとに新聞紙に包みます。

これは計量ミスや材料間違いに気づいた時に、
対応できるための知恵、安全策です。

 

ここまでで一日終わっちゃいます。
原料の埃をシャワーで流して、続きは明日。

酷暑釉作り 1

プレハブ屋根一枚、
冷却装置は「扇風機」だけの仕事場で
今年の8月は、いささか暖かすぎました。

こういう時は頭が動かないので
水を使う肉体労働に限ります。

というわけで、
「今月は釉と化粧土を作るぞ」という事になりました。

作業の様子を何回かに分けて
書いてみようと思っていたんですが。。。

本当に今月は慌ただしくて
気が付いたらもう8月終わっちゃう!

まとまりませんが、書いてある分だけでも
更新していこうと思ってます。
よろしければお付き合いください。


≪酷暑釉づくり その1 ガイロメタタキ≫

ウチの場合は
【工房のポットミルを基準に何ポット分作るか】を
決める作業からはじまります。
青磁釉、白化粧、生化粧、土灰釉、など、
今回作る釉の調合を大きな字で書き出すのです。

間違っていたら全部台無し、大悲劇になりますからね。

書きあがったら原料の在庫点検に取り掛かります。

と!

あらら!!不足品が見つかりました。

数種類ある私の「白系化粧土」によく使われる
【蛙目土(がいろめつち)#50粉末】
数百グラムしかありません・・2キロは欲しいのに・・


蛙目土自体の在庫は買ってあるのです。が、
それはゴロゴロしたこぶし大の塊状。
このままで使えないのです。

メッシュ50番を通した、「ふるい粉」が必要なので
まずはこれを自作します。

蛙目粘土を出し→新聞紙数枚の上に乗せ
→ 手掛矢(てかけや)と呼ばれる木づちのオバケで叩きまくり
→ひたすら粉砕し→ステンレスのふるいにかけて
→細かな粉状のものを得る・・・


こんな、超古風・純肉体労働です。

「打ち出の小づち」を振るなら古来お姫様のお仕事なのですが。

 

蝉しぐれトタン屋根の下♪ 気温は37度越え~♪
ドスンドスンと振り下ろし♪ パフンパフンと土埃~♪
目指せ3キロ ♪ ガイロメ粉末♪

工房のタオル ・エ・

洗濯物が乾かない。
タオルが臭くなる季節だ。

臭いタオルは降格になる。
食器>台所手拭き>工房か雑巾

工房用のタオルは、他と区別するために
印をつける。

オレンジのマジックで「工」とかいた。

なんか愛らしかったので目もかいてみた。

カワイイ。


いむげむ亭のゆるキャラ(?)
工ちゃん誕生の瞬間・・かも。

暑かったので直ぐに広げて
汗拭いちゃったけど、さ。 

仲間とおしゃべりの魔法

久しぶりに「窯窯」(陶芸サークル)の友人達に会えました。
コロナが落ち着き、やっと叶った友人の新築ご自宅兼工房への訪問。
そして、お待ちかね!おしゃべりの時間

 

・・工房の考え抜かれた造作や、工夫の数々。
(心地よい木の吹き抜けが素敵)

・・彼女の作品の数々。
・・新しい材料・顔料や釉薬の組み合わせ、発見の数々。
(熱中!)

合間に
「これ、おいしいよ!」って差し出されるおしゃれなパン。
(お昼を食べ損ねた私のために。感謝。)
「そうそう、歯医者さんがもっとも危険な食品はパンだって」
(巨大しっとり系フランスパンは、確かに前歯に危険だ)
「この皿にのせるとすごくかわいいでしょ!」
(うん、とってもかわいい長い板だね。)
「夕方はゼルダ買いにつきあうので出かけるの。」
(それ、名前は知ってる。)
「あ、そうだ!梅ゼリー!」(手作り!!!)

 

び交う葉、とっらかる題。

愉快でした。

話題のスピードと、音声波の超振動で
胸中の「停滞の結び目」が緩んでほどけたほどに

愉快な時間でしたよ!


そこに
聖杯も光る剣も勇者もないけれど。

白髪・膝痛・老眼しょぼしょぼで
体脂肪と骨密度のレベル上げの日々。
獲得した【保険対象外の武器・差し歯】で
【悪の手先・フランスパン】と戦ったりしながら
日常という冒険の旅は続いてます。

【旅の仲間とおしゃべりの魔法】は、
どの世界でも回復の特効薬だ、と、今更ながら。

 

 

真贋新緑

三月半ばからずっと、贋の新緑の中で暮らしてきた。

塗装工事の足場が雨で延期が続いたせいで
緑色の足場シートが掛かりっぱなしだったのだ。

 

人間なんていい加減なものだ。

フェイクニュース」「カクギケッテイ」「グンジヒ」
インボイス」「アンダーコントロール
自信を取り巻く諸々に懐疑的なタイプの私でも
「緑色」には簡単に騙されて慣れ親しんでしまうものらしい。

最近の足場シートは通気性もよく、
虫が入らない分むしろ快適だったりする。

だが、新緑の真贋も「食」となると違ってくる。
季節の味、新緑の味は「ホンモノ」に限る。

まず【新茶】

摘んだお茶の葉をチン!して揉むだけでも
風味は格別。
急に暑かった日にはミントとブレンドして飲んだら
内側から涼しく、元気が出てきた。
たくさん摘めた時にはには
レンジでチン→揉んで→干し→保存。

 

もう一つが
アケビの新芽】


以前試して、そのあまりの苦さに
「これは食べられない物!」と決め込んでいたのだが、
今年はあまりに茂っているので

モッタイナイ精神から再チャレンジ。
ちょっと調べたら
「塩ゆでにしてから、水に浸して
ほどほどに苦みを抜けばよい」との事。

歯触りよく、風味よく、大変好評。
薄いだし汁におひたしにしても美味。


 明日はようやく、足場が外れ「贋新緑暮らし」はおわる。

 連休には、真新緑の中で、
キレイに塗られた我が家を眺めながら
自作の新茶を頂くのが、とても楽しみ。

発明?ハンドウォーマーのちエコたわし

今週のお題「手づくり」

うう、い。
おもては雪です。皆様の地域はいかがでしょう。

こんな日は工房の土も冷え冷えです。

特に今年は、気温も風も厳しい気がします。
工房や庭で惜しげなく使えて、丈夫で、洗濯機ざぶざぶで洗える
ハンドウォーマーが欲しいと思ったわけです。
(寒さが関節に来るお年頃なのでしょうが・・。)

買ってもよいのです、が。
ウールの細い糸の物は、作業に耐えず、また手洗い必須なのでダメ。
丈夫なアクリル製品
【毛玉が出て、汚れもあるけど十分温かい。捨てるのは気が咎める】
それでシーズン終わりに捨てられず、何年も迷いながら使うのが鬱。

【軍手の指を切ったもの】も安上がりで柔らかく悪くないのですが、
切り口からほつれて来るのがイヤ!邪魔くさい。


たまりかねたある日。自分でサクッと編むなら?とおもい
手作りのヒントをネットで探してみました。
すると超簡単な編み図を発見。(リンク失念)

以前どこかに書いた「葉っぱのエコたわし」と同じうね編み系

まずハンカチサイズの四角を編んで

→90度回して縦うねに置いて

→親指の穴以外綴じて筒にする それだけ!

横縞の段々ができるうね編み90度回して「ゴム編み」のように縦に使う 

その発想が新鮮でした!


エコたわし2枚分ぐらいのサイズだな、これ・・

イヤになったらエコたわしにする?大きすぎるか。

じゃ、最初からエコたわし2枚で作っとけば?

エコたわし用糸は昔「学校でつかう座布団」を作ってやった
バラバラの色毛糸が押し入れにあるはず・・。

 

そこで、ひらめきました。

じゃじゃ~ん!!(音楽)
汚くなったらエコたわしに変身!
超簡単手編みアクリルハンドウォーマー♪】

 

片手分作り方を簡単に書いておきます。


1、並太アクリル毛糸と7号ぐらいのかぎ針を用意。
2、鎖あみを「欲しいハンドウォーマーの長さ」あむ。
 (画像の作品は35目 18㎝。)
3、立ち上がりくさり2目うね編の中長編で自分の手のひらの幅ぐらいまで編む。
(私の場合は9段)
4、もう一枚同じものを編む。



5、親指を出す穴の位置を決め、穴を残して「引き抜きはぎ」ではぎ合わせる。
(糸の色を変えて分かりやすくしてあります。このはぎ方だと、解体する時に楽です。)



6、親指の穴のところを細編み一段足して補強。(やらなくてもよいです)

7、ハンドウォーマーとして使いまくり、汚れてきたら解体して、
2枚のエコたわしとして穴が開くまで使い切る。

もう一つは黄色で。ちょっと短く、30目15㎝。

 

雪で出かけられない、こんな日には
さっと仕上がる実用編み物も
悪くないですよ。

 

(後日補足)

アクリルたわしの「マイクロプラスチック化」について。

1、「アクリル衣類の洗濯物や、他の台所スポンジ、メラミンスポンジ等と比較して

 発生するマイクロプラスチック量は微少」とする研究結果があります。

2、あくまで余ったアクリル毛糸を使い切る工夫です。

 

化学繊維との付き合い方も、今後勉強していこうと思ってます。