いむげむ亭 ▼ 時々日記

陶芸家 中島惠のブログです。HP→いむげむ亭日常http://imugemtei.g1.xrea.com/

TRYの千寿子さんへ

そちらの住み心地はいかがでしょうか。

初詣の家族散歩中に能登の震災を知らせるアラーム音。

その数日後だったんですよ。
賀状に混ざって『寒中見舞い』が届いたのは。
アラーム音と同じ感じ、心にズシン。
ドキンじゃなくてズシン。鉛色のズシン。

かなしいお知らせ、信じたくないお知らせ。

お葉書はごく短文なのに、文字が入って来ませんでした。
目が滑っちゃう。意味が分からない。
何度もオロオロと読み返し、
とりあえず頭では理解したあと。

お葉書を目にする度にズシンと来るのがつらくって
どこかにだいじにしまい込み・・
(ズボラなせいではないのよ!これは。)
・・見つけられなくなってしまいました。

覚えている文面には、たしか、
6月に旅立たれた、そうあったように思うのです。
それと、
差出人のお名前一行、その余白が目に残りました。
今までは、いつだって
別姓を名乗るご夫婦のお名前が『二行』並んでいたのに。

あのはがきは今も出て来ないのです。
あれは夢だったと思いたいです。

でも、どうしても浮かんでしまう、
あのお名前一行分の、切り取ったような空白。
私に現実を告げるのです。

その6月が終わってしまいます。


「器」「器に夢中」の文字が
掛けられていたあのスペース。
あの場所でずっと、
器の作り手たちを支え、励まし、叱り、愛してこられました。

私もどれほど支えていただいたか。

日程まで決まっていた春の展示。
襲ってきたコロナ。
中止か強行か、ご相談した電話での
「コロナを生き抜いて、再度始動しましょうね。」
お約束したあの声が形見になるなんて。

生き残った私は、
逃げたり怠けたりしながらも
まだ、土と人との表現を探して
作ったり壊したりを続けてます。

焼きあがったら、
是非、TRYの空間で見てくださいね。

いつでも工房にお立ち寄りください。
ミントのお茶、供えて待ってます。

どうぞ、お元気で。