いむげむ亭 ▼ 時々日記

陶芸家 中島惠のブログです。HP→いむげむ亭日常http://imugemtei.g1.xrea.com/

三月 ひなの月

およばれした友達の家で初めて目にした「段飾りひな人形」。
ウチにも買ってとねだった小学生の私に
父が与えた本の題名です。

子供のころ飾った「お雛さま」は空襲で焼けてしまい、
思い出の中だけにある・・そんなお母さんと
ひな人形を欲しがる戦後生まれの娘のお話です。

私の母も東京大空襲で家を失っていましたから
そんな共通性もあって
私の気持ちを、強く引きつけたのだと思います。

中でも印象的だったのが
本の中のお母さんが語る、木のお雛様の話・・
「1人1人が木で出来た、小さな15人の段飾り雛で、
雛段の下に桃の花を描いた小さな引き違い戸棚がついている。
しまう時にはその戸棚に、お雛様たちもひな壇もぼんぼりも
全部が魔法のように入ってしまうお雛様。」
このお雛様の事が、大人になってもずっと、
憧れとして心に残っていました。

その憧れのお雛様に、現実世界で出会った時には、
それはもう! 心躍りました!! 
ああ、ここにおられたのですか!と思いました。

もっとも、一等地の百貨店での出会いでしたから
その脇に置かれた値札にゾロゾロと並ぶゼロの数が
私にはまったく現実的ではなく
遠い憧れである事に変わりはありませんでしたけど。

でも、実物のインパクトはやっぱりおおきくて。
あの本のお母さんのように自分で作ろう、と思いたち、
学校に戻って陶土でお雛様を作りはじめたのでした。
それなりに味のある出来だったので、嬉しくて、
勝手に大学の教室に飾ってましたっけ。
  
今も季節を問わず個展に出している
【お雛さま・15人飾り】。イメージ 1
造り続けているのは、
あの本との出会いがあったからこそでしょう、
すぐにお雛様を買い与えられていたら、
違っていたかと思います。

余談ながら、
憧れた木のお雛さま・・奈良一刀彫の段飾り・・は
縁あって数年前、我が家においで下さいました。

ご近所が旧暦適用なのをよい事に
毎年4月4日までのロングランで
今も玄関に鎮座頂いてます。


3月10日の大空襲の日にちなんで
この話題を「74年前の今日の事」として取り上げたのですが、
後日、これを読んだ父からメールがありました。
横着ながら引用して加筆訂正と致します。
  「ママの家が空襲で焼けたのは310日ではなく、41516日の空襲です。  310日は下町が爆撃され、41516日にママの家のあった品川区をはじめ
 大森区、目黒区、鎌田区、芝区、麻布区、世田谷区、渋谷区などが焼けました。」
母のお雛様が焼けてしまったのは、4月だったのですね。
ちゃんと語られていない事は、まだまだ沢山あるのでしょうね・・・。

頂いたコメント……………………………………………………………

お雛様飾らなくなって久しい
というか無いのです
なければ作るのがモットーの私め

何故か作ろうと思いつつ色々言い訳
何しろ破壊王がいるので とか

[ jyu*yu*5 ]

2019/3/13(水) 午後 10:43



> jyu*yu*5さん いらっしゃいませ♪

ウチにも猫がいますので、
ネコを叱らなきゃならない事態になる飾りものは
何年も埋蔵されたままです。

破壊王さんが破壊王でいられる期間は限られるもの。
今はぜひ破壊王さんのいる暮らしを
満喫してくださいませ。

[ いむげむ亭 ]

2019/3/14(木) 午前 11:15



こんばんは。思わずこちらへ書き込み。私にも大事な本なので、びっくしました。私の場合はただただ、好きな本だったと言うことだけなのですが。大人になってもずっと絵も文章も頭に刻み込まれています。
個展の準備、うまくいっているようですね。楽しみにしております。

さきたま新聞

2019/7/27(土) 午後 7:29

> さきたま新聞さま
ご心配いただきありがとうございます。
今日、八木橋さんに一日早く運びこみました!
お会いできたら、幼いころからの本の話がしたいですね!
きっと他にも、盛りあがる共通の本があると思います。

[ いむげむ亭 ]

2019/8/5(月) 午後 9:19