いむげむ亭 ▼ 時々日記

陶芸家 中島惠のブログです。HP→いむげむ亭日常http://imugemtei.g1.xrea.com/

「展観雑記・ARTS & CRAFTS展 2」

前回の続きです。
特に印象深かった作品3点限定で雑感羅列しておきます。

【気に入った壁紙 ”果実あるいは石榴”(1866)】
意識して見るための絵画作品と違って
背景として・・・ある意味、あらかじめ見逃されるために用意された絵、として
割り振られた役割を十分以上に果たしつつも、
絵画並みの内容を持っている極上のお仕事です。
控えめな出来上がりの内側に猛烈な美意識を感じます。
こういう仕事、かっこよいなぁ・・・・

他の壁紙展示にも見るべきところが多かったです。
壁紙は商品ですから手数を減らして価格を抑えることは必須です。
すなわち色(版)の数を減らすこと。シビアなお仕事です。
そのシビアさの分、構成が実にタイトなのですね。
原稿が紛失しても(しないでしょうけど!)
元の取材スケッチから全く同じ線を取り出してこれそうなタイトさ。

生の草案スケッチも見ることができ、
考案中の迷っている線が残っていて
丁重な組み立て作業をのぞき見ることができました。
これもとても楽しかったですね。

【ステンドグラス ”聖ゲオルギウス伝”】
やーん!竜におへそがあるぅ!・・それはさておき、
主人公を含め両親の王、王妃も笑ってないのです。
ハッピーエンドでも笑っていない。
別の作品で、ニワトリたちのステンドもありましたが
こっちも顔は笑ってないです。

ディズニー的笑顔に代表されるアメリカ的表現よりも、
イギリス的なこの大人の空気。私はこっちが好きです。

あと、短い詩なんだから、和訳をつけてくださいよ、
修飾文字デザインの仕事を理解する上でも親切なのにーにー!と、
運営の方にいいたい。


【ロシアのクラフト 木の椅子】
背もたれの頂上にクレムリン宮殿屋根の玉葱デザインを
アイヌの彫刻みたいな雰囲気で彫り付けて、彩色してあるのです。
日本とイギリスを結ぶ時、ロシアは地理的に中間の位置。
そのまま中間の表現になるんだな、とそのまま納得。

ロシアのがっちりした椅子は飾られて楽しそうにみえました。
それでも足元はロシア的な頑丈な姿をして、
椅子の仕事をまっとうしていました。
大地に根ざしたような、その頑固さにも愛を感じましたね。


もう一回、続く予定です。(長い)
(あ、火山灰、降りましたー、浅間山は水蒸気が見えてましたー)